洋画『地獄の逃避行』はバイオレンス映画の中でも異彩を放つ名作

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日、ご紹介するのはアメリカ合衆国で制作された名作バイオレンス映画 「地獄の逃避行」です。

この映画、題材のわりに”爽やかな名作バイオレンス・ムービー”になっております。

洋画「地獄の逃避行」は、多くの映画関係者に影響を与えたテレンス・マリック監督の劇場長編映画デビュー作。

洋画「地獄の逃避行」は1973年10月15日に本国アメリカで公開されました。
上映時間は95分。
日本では劇場未公開です。

洋画「地獄の逃避行」はマーティン・シーンが映画「地獄の黙示録」(1979)に主演したのをきっかけにテレビ放映されました。その際につけられた邦題が「地獄の逃避行」です。

(ちゃっかりさんです。乗っかっちゃえ!という発想。ですから、タイトルは内容にしっくり来ません)

原題は”BADLANDS”で”荒地”を意味する言葉。
(映画の舞台になったサウスダコタ州国立公園の名前でもある)

実はこの洋画「地獄の逃避行」は、1958年にネブラスカ州で起きた19歳の青年と13歳の少女が起こした「スタークウェザー=フーゲート事件」を題材にしています。

「スタークウェザー=フーゲート事件」とは?

出典:allthatsinteresting

ジェームス・ディーン気取りで近所で有名なチャールズ・スタークウェザーが、恋人キャリル・フュゲートの家を訪問した際、ふたりの交際を反対するキャリルの両親と口論になり、両親とキャリルの2歳半に異父妹ベティを殺害。その後、スタークウェザーとキャリルは車で逃走。スタークウェザーが主に逃走資金を奪って相手を殺害するという犯行を重ね、8日間で10人を殺害。

当時の新聞には”I GOT MAD AT PEOPLE”という逮捕時のスタークウェザーの言葉が新聞の一面を飾った。

(”オレはそいつらに腹を立てたんだよ”)スタークウェザーとキャリルは警察によって逮捕。

スタークウェザーは1959年6月25日に電気椅子によって死刑に処された。終身刑を言い渡されたフュゲートは、1976年6月20日に仮釈放。

監督のテレンス・マリックについて

45年で9作。寡黙でハリウッドで最も”リスペクト”されている監督のひとり。

出典:wikipedia.

テレンス・マリックは1943年11月30日 生まれのアメリカ合衆国の映画監督・脚本家・プロデューサー。

ハーバード大学で哲学を専攻し、1965年に首席で卒業。
ローズ奨学金を得てオックスフォード大学大学院に入学するも中退。
マサチューセッツ工科大学で哲学を教え、フリーランスのジャーナリストとしてニューズウィーク、ニューヨーカー、ライフなどの雑誌に記事を寄稿。

1971年に映画「ダーティハリー」の初期草稿に脚本家として携わったことが映画界進出の足がかりになり、翌1972年にポール・ニューマン主演の映画「ポケット・マネー」の脚本を執筆。
1973年に映画「地獄の逃避行」で監督デビュー。

1978年には2作目「天国の日々」を発表。
アカデミー作曲賞、音響賞、衣装デザイン賞などにノミネート、第32回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。
その後は公衆の面前に一切姿を現さなくなり、フランスで長い間、教師生活。

1998年、20年ぶりに戦争映画「シン・レッド・ライン」を発表。
第49回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。アカデミー賞では7部門にノミネートされる。

2005年映画「ニュー・ワールド」、2011年にブラッド・ピット主演映画「ツリー・オブ・ライフ」を発表。
映画「ツリー・オブ・ライフ」は第64回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。

翌2012年に映画「トゥ・ザ・ワンダー」を発表。
第69回ヴェネツィア国際映画祭でSIGNIS賞を受賞した。

2015年にはクリスチャン・ベール主演映画「聖杯たちの騎士」、2016年には宇宙の誕生と死を探求したドキュメンタリー「ボヤージュ・オブ・タイム」が公開。
最新作は2017年「ソング・トゥ・ソング」。

洋画「地獄の逃避行」の主演はキッド役にマーティン・シーン。

出典:wikipedia

ホリー役はシシー・スペイセクが演じている。
(シシー・スペイセクはホラー映画ファンの間では映画「キャリー」で知られていますが、アカデミー主演女優賞の6度もノミネートされている演技派女優)

ウォーレン・オーツも出ています。
(殺される父親役)

では、洋画「地獄の逃避行」のイントロダクションだけご紹介。
(題材のスタークウェザー=フーゲート事件について説明済なので)

名作バイオレンス映画 「地獄の逃避行」イントロダクション

ゴミ収集の仕事をしているキッドは25才の青年。
いつも、白いTシャツにデニムの上下でジェームズ・ディーンを意識している。
15歳のホリーは幼い頃に母が病死、父親と2人暮らし。

ホリーはキットと恋に落ちる。だが、ホリーの父親はキットとの交際を許さない。
駆け落ちを計画したキットはホリーの家に侵入するが、鉢合わせした父親をホリーの目前で射殺。
家に火を放つと、彼女を連れて逃走する…。

名作バイオレンス映画「地獄の逃避行」

名作バイオレンス映画 「地獄の逃避行」はデビッド・フィンチャーやクエンティン・タンランティーノ、トニー・スコットらに影響を与えた映画。

こんな話もあります。
ハンス・ジマーが音楽を手がけた名作映画「トゥルー・ロマンス」のテーマ “You’re So Cool” は、映画「地獄の逃避行」のテーマ曲(カール・オルフ の“Gassenhauer)に似た雰囲気のものを作って欲しいとのトニー・スコットからの依頼を元にジマーが書いた。

洋画「地獄の逃避行」おすすめポイント

テレンス・マリックの作品は登場人物によるヴォイス・オーヴァーモノローグがナレーションとなっているのが有名です。

この映画では、15歳のナイーブな女の子ホリーの視点から語られ、バイオレンス映画というより青春映画のようです。
(シシー・スペイセクは撮影当時23歳。マーティン・シーンは32歳)

素晴らしい映像の数々はテレンス・マリック監督マジックです。

キッドとホリーが森の中にツリーハウスを作って住むシーンやジェームス・ディーンの映画「ジャイアンツ」のポスターのごとく、キッドがライフルを十字架のように背負うシーンは脚本にはなかった。(テレンス・マリックの思いつき)

荒野を空を背に爆走するキャデラック。
車のライトに照らされ、車中のラジオから流れるナット・キング・コールの「A blossom fell」に合わせて夜の闇の中で踊るキッドとホリー。

(映画の醍醐味を余すところなく、映像と音楽を組み合わせたテレンス・マリックの映画はおすすめ)

映画制作者だけでなく、映画「聖杯の騎士」に出演したナタリー・ポートマンがインタビューで「テレンス・マリックの映画は全部見ている」と言うように役者にもテレンス・マリック信仰者は多い。

事実、20年ぶりの監督作「シン・レッド・ライン」のキャストを見てみると、ショーン・ペンをはじめ、ジョン・キューサック、ウディ・ハレルソン、ニック・ノルティ、ジョン・トラボルタ、ジョージ・クルーニー、ジム・カヴィーゼル、エイドリアン・ブロディなど当時売れっ子の男優たちがひしめき合っているのがわかる。

テレンス・マリックのデビュー作である”ちょっと、変わったバイオレンス映画”「地獄の逃避行」は昼下がりにおすすめ。

まさに”映画らしい”名作。

次回は”演技”について、また、お話しします。

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

「洋画『地獄の逃避行』はバイオレンス映画の中でも異彩を放つ名作」を最後まで読んで下さった読者の皆様へ

皆さん、ホラー王子(ナイトメアリュウタ)の兄貴分で脚本家・演出家・演技トレーナー・映画評論者のナイトメアシンジです。

バイオレンス映画 「地獄の逃避行」を読んでくれた方にオススメしたい映画がありますのでコチラの記事も併せて読んでみて下さい→→演技初心者はどんな本を参考にするべきか?

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