映画『DISTANCE』(ディスタンス)は残されたカルト宗教信者家族を描く意欲作

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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脚本家・演出家・演技トレーナー・映画評論者のナイトメアシンジです。

今日、ご紹介する作品は日本映画『DISTANCE』(ディスタンス)です。

カルト宗教 映画『DISTANCE』(ディスタンス)は、2000年7月24日クランクインし、2001年1月完成しました。映画公開は2001年5月26日です。

映画『DISTANCE』(ディスタンス)は是枝裕和監督の長編映画3作目になります。

是枝裕和監督と言えば、2018年の「万引き家族」が有名ですが、それだけではありません。

日本アカデミー賞最優秀監督賞を3回受賞。(海街diary(2015年)、三度目の殺人(2017年)、万引き家族(2018年)。これだけ受賞する監督は珍しい。特に2018年野受賞は価値がある。「カメラを止めるな!」や「弧狼の血」などを押しのけて受賞

また、是枝裕和監督は自ら脚本も書くスタイル。
最優秀脚本賞を2回受賞しています。
「三度目の殺人」と「万引き家族」です。

その他の映画でも内外の映画祭を数多く受賞。
(「誰も知らない」(2004年)「歩いても歩いても」(2008年)「そして父になる」(2013年)など)

言わば、日本映画界が誇る名映画監督の一人です。

中でも、映画『DISTANCE』(ディスタンス)はある意味、とても、実験的で前衛的な映画だと言えます。
キャストに手渡された脚本はそれぞれの出演部分だけ。相手の台詞は書き込まれておらず、俳優たちは物語の全貌を映画が完成するまで知らなかったそうです。

空白の部分は、それぞれの役者が感性と想像で埋めて作られました。また、スタッフ欄には、音楽・音響効果はありません。

映画において、本来であれば、”非常に大切な役割を担うだろう音楽”を使わないこの映画『DISTANCE』(ディスタンス)。

どうです?
映画『DISTANCE』(ディスタンス)に興味が沸いてきましたか?

出演は姉夕子が信者になってしまう弟、敦役にARATAを起用。
(姉の夕子役はりょうが演じる)

出家した信者の弟、勝役は伊勢谷友介。
(勝の兄役を津田寛治)

妻に出家される夫、実役に寺島進。
(実の元妻役は山下容莉枝)

夫の環に出家される妻、きよかの役を夏川結衣。
(きよかの夫の環には遠藤憲一)

元信者の坂田役は浅野忠信。
菊間刑事を中村梅雀が演じています。

では、カルト宗教映画『DISTANCE』(ディスタンス)のあらすじを紹介していきます。

カルト宗教映画『DISTANCE』(ディスタンス)あらすじ

カルト宗教教団「真理の箱舟」が水道水に新種のウィルスを混入するという無差別殺人を起こした。その5人の実行犯も教団の手で殺害され、教祖も自殺した。

事件から3年後の夏。4人の加害者遺族はその故人の命日に集まり、遺灰を撒いたとされる山間の湖に慰霊に行く。ところが、林道に停めた車が盗まれたため、その場に居合わせた元信者の坂田の案内で、実行犯たちが潜伏していたロッジで一夜を明かすことになる。5人はそこで過ごすうち、否応なく過去と向き合うことになる。

予備校の教師をしているきよかは、理想の教育を追求しようとして向こう側へ行ってしまった夫・環のことを。気ままな学生生活を送っている勝は、兄が出家前日に訪ねて来た時のことを。建設会社に勤める実は、妻が高校時代の後輩・宮村と教団へ行くと告白された日のことを。花屋で働く敦は、夜と昼の間のサイレント・ブルーという時間について語った姉・夕子とのことを。

そして、事件直前に脱走した坂田は、4人の遺族に故人たちの最後の様子を語る。教祖のことを尋ねる敦には坂田の見た教組について、話して聞かせる。

一夜明けて、無事、東京へ戻った5人は1年後の再会を約束して別れる。だが帰りの電車の中で、坂田は敦に気になる言葉を残していた。”あなた、ほんとは誰なんですか?”実は、夕子の弟の敦が自殺していた。

坂田はそのことを夕子から聞いて知っていたのだ。数日後、再び湖に敦と名乗った男の姿があった。彼は、湖面に向かって小さく呟く。「父さん」と。

カルト宗教信者家族を描いた映画『DISTANCE』(ディスタンス)の凄さとは?

是枝裕和監督は、このカルト宗教 映画『DISTANCE』(ディスタンス)において、アップシーンを極力使わずに撮っています。(ドキュメンタリー映画のように…。ドキュメント出身ですけどね)

そして、演者の自然な演技を引き出す為に、事前に相手の台詞を伝えないという大胆な演出方法。

もちろん、この映画『DISTANCE』(ディスタンス)はオウム真理教というカルト宗教集団の事件をモチーフに作られています。

もし、ある日、自分の家族に”得体の知れないカルト宗教集団に入信したい”と言われた時の驚きや戸惑い、怒りの自然なリアクションを引き出すための演出なのです。

映画を見る人間が”当事者として感じられるような作風”はなんとも言えない後味の悪さ、きまり悪さを感じます。

”リアル”の追求。
しかし、ここにある種の矛盾が生じます。
ドキュメントは”素”でありません。
カメラを回されて撮影されていることを認識している人間が”完全な素”であるはずがない。
そこには、必ず、無意識であろうが、意識的であろうが”取り繕い”があります。
”100パーセントの完全の素”を撮りたければ、隠し撮り以外にはないのです。
”自然、リアル、素”への挑戦。
是枝裕和監督の試行錯誤がこの映画には溢れています。

でも、説明台詞なし、長回し、近づかないショット、役者目線の映像、鳴らない音楽は、精神的に見る者を疲弊させます。

突き放したような演出、”人間は、結局、みんな一人だからさ。家族であろうが、なかろうが、100パーセント分かり合えたりしないんだよ”という事を改めて気づかされる。

哀しい。
寂しい。
むなしい。

筆者は是枝裕和監督映画を見る度、そんな感情になります。
(センチメンタルな終わり方ですいません)

映画『DISTANCE』(ディスタンス)はお時間と心に余裕がある時に御覧下さい。

「映画『DISTANCE』(ディスタンス)は残されたカルト宗教信者家族を描く意欲作」を最後まで読んで下さった皆様

皆さん、ホラー王子(ナイトメアリュウタ)の兄貴分で脚本家・演出家・演技トレーナー・映画評論者のナイトメアシンジです。

カルト宗教 映画『DISTANCE』(ディスタンス)の記事を最後まで読んでくれた方にオススメしたい映画がありますのでコチラの記事も併せて読んでみて下さい→映画『ジャッカルズ』はカルト宗教の恐ろしい実話を映画化した作品らしい

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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