演技におけるタバコと映画について少し語ろう

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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演技で”タバコを吸う場面”を要求された場合(最近は少なくなってきている)は非喫煙者には少々荷が重いと言わざる得ません。

”タバコを取り出し、火をつけて吸い込み、吐き出す演技”は喫煙経験がないと、リアルさに欠けることが多いからです。

”画になるタバコの演技は難しい”

タバコと演技で筆者がまず、連想する映画は「グラン・トリノ」です。

映画「グラン・トリノ」

2008年12月12日に公開されたアメリカ映画。
(日本公開は2009年4月25日)

上映時間は117分。
監督・主演は言わずと知れたクリント・イーストウッド。
(89歳の今でも、映画を撮り続けている。まだまだ、御願いします)

脚本はニック・シェンク。
(2018年公開のクリント・イーストウッド主演「運び屋」でも脚本を引き受けている)

タイトルの「グラン・トリノ」(Gran Torino)はクリント・イーストウッド扮する”ウォルト”が所有する1972年式のフォードのビンテージ・カーのこと。

では、映画「グラン・トリノ」のあらすじを知らない方のために簡単に導入部だけ説明しましょう。

「グラン・トリノ」あらすじ

朝鮮戦争に従軍した経験を持つ元自動車工、ウォルト・コワルスキーは近所でも偏屈で口の悪い変わり者で有名。

妻に先立たれ、息子たちとの関係もうまく行かず、愛犬と孤独に暮らす日々。

そんなウォルトの隣に東南アジアからの移民であるモン族の少年タオの一家が引っ越してくる。

図らずもタオとの交流が始まるが、タオを仲間に引き入れようとする地元の不良グループがウォルトの前に立ち塞がる…。

ここからはネタバレあり

映画の後半。
自宅の浴室。

バスタブの中に横たわるウォルト。傍らには、年老いた愛犬デイジーが座っている。ウォルトが横目でデイジーを見ながら言う。

「わかってるよ。何も言うな。家で初めて吸うんだから。一度ぐらい好きにさせろ」

(前半、ガレージでこっそりタバコを吹かす孫娘が、ウォルトが現れると”慌ててタバコを消す”シーンとリンク)

クリント・イーストウッドは大量の煙を吐き出さずに、美味そうに吸います。(お見事。違和感なし)

ラスト、タオの姉をボコボコにして、レイプしたギャングのアジトの前に立つウォルト。

銃を片手に慌てて出てくるギャングたち。「おまえは何するんだ?老いぼれじじいが」

全く動じず、ウォルトはタバコをポケットから取り出して言う。

「ビクつくな」「うるせえ!」「貴様こそ黙れ」ウォルトは指でギャングたちを銃を撃つマネをして見せて「火を貸せ」動揺を隠せないギャングたち。

ウォルトは手に持ったタバコを口にくわえて続ける。「俺のライターを出す 聖なるマリアよ」
そして、ゆっくりと懐に手を入れ、さっと取り出すウォルト。

反射的にウォルトを一斉に撃ち始めるギャングたち。

蜂の巣になり、ウォルトは地面に倒れる。ウォルトの手にはライターが握られている。
(ギャングらは長期の刑に服することになる)

ウォルトの”英雄的行動”に胸を打たれるシーンです。
(最後は愛車グラン・トリノをタオに譲る遺言状が読み上げられるところもイイ)

タバコを吸う演技ををもうひとつ

2014年にフジテレビ系列で放映されたドラマ「若者たち2014」の中のワン・シーン。

(ドラマ「若者たち2014」は、1966年にフジテレビで放送された連続テレビドラマ「若者たち」をリメイクした作品)

1966年のドラマ「若者たち」についても、少しだけご紹介します。

1966年のドラマ「若者たち」は12月7日 から 9月30日まで全34回 放映され、主題歌もヒット。(出演は田中邦衛や橋本功、佐藤オリエ)

“千葉県の海岸沿いの町に住む両親を亡くした5人兄弟が、友情・恋愛・確執などを繰り返しながらも逞しく歩き続けて行く青春ドラマ。

視聴者の共感を呼び、開始当初は低かった視聴率も回を追うごとに上昇していった。

内容は、1965年11月29日付の毎日新聞朝刊「ある家庭」という特集記事で紹介された、実在の家族を素材に企画された。

1966年、第3回ギャラクシー賞 テレビ・フィクション部門受賞“

(フリー百科事典『ウィキペディ(Wikipedia)』から抜粋)

そのドラマを現代版にリメイクしたのが「若者たち2014」。

(ドラマ「若者たち2014」は2014年7月9日から9月24日までフジテレビ系の「水曜22時」枠で放送されたフジテレビ開局55周年記念企画ドラマ)

「北の国から」で知られる杉田成道がチーフ演出を担当。主演は妻夫木聡。共演者も豪華。瑛太、満島ひかり、柄本佑、蒼井優、長澤まさみ、橋本愛、野村周平。

筆者が気になるシーンは長澤まさみ扮する屋代多香子がタバコをふかすところ

上京して歌手になる夢が破れて、今は実家の農家の手伝いをしている多香子。

多香子が薄汚れたトラックに寄りかかって、休憩中、タバコを吹かす。

長澤まさみのタバコを吸う動きが、ややぎこちない。煙を吸い込む表情も懸命に我慢しているように見える。
(頑張っている感強し)

タバコを吸わないけど、”タバコが印象的なシーン”も挙げましょう。

1994年公開のフランス・アメリカ合作映画「レオン」。

リュック・ベンソンの名作アクションとして名高い作品ですね。

凄腕の殺し屋レオンが住むアパートの同じ階に住むマチルダ12歳。(演じるは、当時13歳のナタリー・ポートマン)

両親の目を盗み、マチルダがエレベーター・ホール前で火のついたタバコを持っているシーン。

マチルダは未成年ながらタバコの持ち方と表情が喫煙者そのもの。

(吸うシーンはないが、違和感なし。喫煙者の雰囲気をかもしだすナタリー・ポートマンの演技は素晴らしいの一言に尽きる)

最後は1973年のロバート・アルトマン監督の映画「ザ・ロング・グッドバイ」

レイモンド・チャンドラーの名作探偵小説を大胆に映画化。賛否はあるが、筆者は評価します。大好き

主演のフィリップ・マーロウにエリオット・グールド。(1970年の映画「マッシュ」が有名。筆者には1978年のサスペンス「カプリコン・1」です)

この映画「ザ・ロング・グッドバイ」ではエリオット・グールドは常にタバコをくわえている。
(火はついていない時が多い)

エリオット・グールドが深夜のバルコニーでタバコに火をつけるシーンは名シーン。
(火の明るさに部屋の住民が振り返る)

タバコが象徴的に使われる映画は多いが、近年は少なくなっているのは事実。
(2016年の日本のアクション・スリラー「MOZU」くらい。主演の西島秀俊が絶えず、吸っている)

演技の重要な小道具でもあるタバコですが、吸い過ぎには、注意しましょう。

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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