映画『ストーカー』(2002)についての思い込みと感想

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日ご紹介する映画は「ストーカー」です。

原題と邦題の違いが”ミソ”になった珍しい映画「ストーカー」

残念ながら、名匠アンドレイ・タルコフスキーが監督した1979年のソビエト映画ではありません。(こちらは、ストルガツキー兄弟による小説「Пикник на обочине・路傍のピクニックが原作。邦訳タイトルが「ストーカー」) 

ストーカー」は2002年のアメリカ映画。
原題は「One Hour Photo」
意味は”1時間で出来上がる写真”
このです。

映画「ストーカー」どうです?興味が沸いてきました?

日本公開は2003年2月1日。
上映時間は98分。

監督・脚本マーク・ロマネスク

マーク・ロマネスクはミュージック・ビデオやアメリカン・エキスプレスなどのテレビCMを多く手がけている監督でもあります。

(テイラー・スウィフトの2014年世界的大ヒット曲「シェイク・イット・オフ~気にしてなんかいられないっ!!」のミュージック・ビデオの監督。躍動感溢れるスウィフトは必見)

また、2010年にカズオ・イシグロの名作SF小説「わたしを離さないで」を映画化した監督でも知られています。

1979年のソビエト映画と全く異なる2002年映画「ストーカー」

映画「ストーカー」はプリント・ショップに勤務する物静かな中年の独身男が、お得意さまの家族に妄想を抱くようになり、段々とストーカー行為へとエスカレートしていく心理サスペンスです。

主演のロビン・ウィリアムズは、巨大スーパー・マーケットのプリント・ショップ従業員で、実は”ストーカー”のサイ・パリッシュ役

(ロビン・ウィリアムズは悲しいことに2014年8月11日に、この世を去りました。検視結果は”自殺”。数多くの名作、名演で記憶に残る稀代の名役者の一人でした。筆者は1989年の映画「グッドモーニング・ベトナム」のDJ役エイドリアン・クロンナウア上等兵の”機関銃トーク”に度肝を抜かれたことを今だに覚えています。ご冥福をお祈りします)

サイに”ストーカー”されるヨーキン家の美しい妻ニーナ役にコニー・ニールセン

(リドリー・スコット監督のアカデミー作品賞受賞の「グラディエーター」が印象的)

ヨーキン家の夫ウィルはマイケル・ヴァルタン

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

(2001年から2006年にわたり、放映されたアメリカのアクション・ドラマ「エイリアス」でジェニファー・ガーナー演じる若き女スパイ、シドニー・ブリストウの連絡CIAエージェントのマイケル・ヴォーン役ですな)

サイを追う刑事役にエリック・ラ・サル

(もち、ご存知、アメリカNBCドラマ「ER緊急救命室」のピーター・ベントンですよ)

2002年制作映画「ストーカー」あらすじをご紹介します。

2002年制作「ストーカー」あらすじ

サイ・パリッシュは巨大スーパーチェーンの一角にあるプリント・ショップに長年勤めている。サイは仕事熱心でプロ意識が人一倍高く、写真を丁寧に仕上げ、常に笑顔で客に対応していた。

常連客のニーナはサイにとっては特別な存在だった。ニーナは夫ウィルと一人息子のジェイクとの3人で裕福に暮らしていた。

サイはニーナが現像に出す家族の幸せそうな写真を必ず、”1枚余計にプリント・アウト”して、こっそり自宅の壁に飾っていた。しかし、スーパーの店長に現像枚数と売り上げの違いを指摘され、サイはクビを言い渡される。

同じ頃、サイを絶望させる、もうひとつの出来事が起きる。サイは、ひょんなことからウィルの浮気写真を見つけてしまったのだ。

”幸せ家族”の夫の裏切りの証拠写真をニーナが見るように仕向けるサイ。ニーナは写真を見て、激しく動揺する。

サイはヨーキン家を覗くがニーナは何も行動を起こさない。業を煮やしたサイはある行動に出るが…。

ここまではネタバレなし。

ここからは未見の人注意!完全ネタバレで気は引けますが、ネタバレします!

映画「ストーカー」についての思い込みと感想

ここでストーカーの意味について、もう一度説明しておきます。

” stalker”とは、特定の相手に対し、つきまといや待ち伏せなどの行為を繰り返す人のこと。

ロビン・ウィリアムズに筆者は唖然とした

映画「ストーカー」では、ロビン・ウィリアムズはうだつの上がらない寂しい中年ストーカーを見事に演じています。

ですが、1989年の青春映画「今を生きる」の熱血教師、1997年の感動作品「グッドウィルハンティング/旅立ち」の心の傷の残る心理カウンセラー、1998年の映画「パッチアダムストゥルー・ストーリー」の実在の患者のために身を捧げる医師を演じたあのロビン・ウィリアムズが”ストーカー”の役をやるというニュースを聞いたとき、筆者は唖然としました。
(映画「インソムニア」(2002)然り) 

”どうして、そんな役をロビン・ウィリアムズが?”

演出家・脚本家・映画評論家・演技講師・リーディング講師・ナイトメアプロダクションCEO の6つの顔を持つナイトメアシンジ

その謎は最後の最後に解けます。

サイをクビにしたスーパーの店長はサイが自分の娘を密かに撮影したスナップショットを見せられます。(ここの演出とカット割は上手い)

職場から盗んだタガー・ナイフで脅して、ホテルで密会していたウィルとその愛人に性行為をさせた写真を撮るサイ。

ここまでは、狂気以外のなにものでもありません。

ここから、あっと驚くラスト。

警察で逮捕されたサイのカメラを現像すると、写っていたのは、ホテルの部屋の備品だけ。
サイはホテルでウィルと愛人の写真を撮ってはいなかった。

取り調べで、サイは自分の幼少期の”トラウマ”と自分が思い描く”理想の家族の幸せ”を重ね合わせて、犯行に及んだことがわかります。

家族を壊すために、ヨーキン家に近づいたわけではなく、暖かく、幸福な家庭の中へ
やさしいサイおじさんとして、家族に加わりたかっただけだったのです。

”ストーカー”には間違いありませんが、”悲しい男”を描いた作品

ただのスリラー映画じゃなかったから、ロビン・ウィリアムズは出演のオファーを承諾したのかもしれませんね。

おまけで、もうひとつの感想

サイが”狂気の犯行”を決意するシーン。

迷路のような巨大スーパーの中をサイが歩くところは、1980年のスタンリー・キューブリック監督のカルト映画「シャイング」を筆者は連想してニヤリとしました。

”シンメトリーな空間と撮影の巧みさ”はさすがミュージック・ビデオ出身。

映画「ストーカー」おすすめ

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”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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