泣く演技の難しさとセリフにおける因果関係について話そう

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日は演技について、少しお話ししましょう。

”喜ぶ・怒る・泣く”
この3つのファクターは”演技の最大要素”と言ってもいいかもしれません。その中でも”泣く”という演技は、色々な意味で指導する立場でも悩みところです。

「泣く演技はどうすればいいですか?」
よく聞かれる質問です。

 ”泣く”と言っても、喜びと悲しみに分かれます。どちらも難しい演技です。でも、より気遣うのは悲しい”泣く”です。

舞台演出家で映画監督でもある鴻上尚史は著書「演技と演出のレッスン」(白水社)の中でこう書いています。

”「哀しかったこと」「つからったこと」などのネガティブな感情を集団のレッスンで再体験しようとするのは避けたほうがいいと思います。稽古場全体が号泣や錯乱の状態になる可能性があるからです。(いわゆる集団ヒステリーです)

鴻上尚史は、”ネガティブな感情記憶レッスン”は、強烈な体験でも7年前以上前ならコントロールできるとしている

リラックスして集中すれば、7年前の感情でも、とてもリアルに再体験してしまう可能性があります。それが、稽古場で増幅されて、手に負えなくまなってしまうかもしれないのです”

筆者は個人レッスンでも危うい可能性があるので、”泣く”演技をするために”哀しみ”を再体験させることはほとんどやりません。

演技を習う子供で保護者がそばにいて、その保護者と筆者との間に信頼関係があれば行うこともあります

鴻上尚史のいう通り、精神的に不安定になり発作的な行動を取る可能性があるからです。

”では泣く演技の習得はどうすればいいか?”

それについては後ほど、お話するとして、大人の”泣く”素晴らしい演技を皆さんにご紹介しましょう。

映画「幸せのちから」のウィル・スミスの泣きの演技です。

これは、”喜び”の泣く演技です。
”大人の男が泣く”演技の場面として見事に表現されています。

映画「幸せのちから」についても説明しましょう。

映画「幸せのちから」の原題はThe Pursuit of Happyness。
(原題はアメリカ独立宣言”幸福の追求”(The pursuit of happiness)に由来)

映画「幸せのちから」

2006年のアメリカ映画。
日本では2007年1月27日に公開されました。
上映時間は117分。

主演のクリス・ガードナー役はウィル・スミス。
(映画「メン・イン・ブラック」のJですな)

この映画「幸せのちから」は実在の人物クリス・ガードナーの半生を描いた作品です。

映画「幸せのちから」のあらすじ

舞台は1981年のサンフランシスコ。妻リンダと息子のクリストファーと暮らすクリスは、骨密度を測定する新型医療器械のセールスをしているが、うまくいかず税金も滞納、妻のパートでなんとか乗り切る苦しい生活を送っていた。

”株の仲買人は学歴がなくてもなれる”と聞いたクリスは、証券会社の養成コースに願書を提出する。研修期間は半年で無給。

でも、採用されるのは、20人のうちのたったの1人。クリスを様々な試練が襲う。妻の家出、家の立ち退き、駐車違反での拘留、差し押さえ、ホームレス生活。明日も見えない辛い日々が続く。折れそうになりながら、息子クリストファーを思い、懸命に努力を続けるクリス…。

クライマックス

クリスの研修の最終日のシーンです。
重役たちの集まる部屋に呼ばれるクリス。
「いいシャツだ」と重役が言います。

「いいシャツを着てきました。最終日なので」とクリスが答えます。

すると、重役は言うのです。
「そうか、感心だ。でも、明日もいい物を着てくるんだ。君の初日だからね。ここで働く気なら」クリスの目に涙が浮びます。

「簡単だったか?」と重役。
クリスは答えます。
「いえ、その逆です」
何度も小さく頷くクリス。
懸命に涙を堪えます。
目は赤くなっています。

会社を出て、家に帰ろうとする路上に溢れるサラリーマンたちの波の中、クリスは静かに自分に拍手し、周りに気づかれないように涙を流します。

ウィル・スミスの自然な”泣く”という演技にシビレます。この映画「幸せのちから」でウィル・スミスは第79回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされました。

未見の方、演技者を志す方は一度御覧下さい。

では、”泣く”という演技は、どうすればいいか?

演出家・脚本家・映画評論家・演技講師・リーディング講師・ナイトメアプロダクションCEO の6つの顔を持つナイトメアシンジ

結論

筆者の答えは”いい脚本”です。

泣けるシーンが役者が見事に表現できる”いいセリフ”です。

その”いいセリフ”を言える状況設定です。

”きちんとしたシーン”があれば、大抵の人間はその場で泣けます。
本当です。

但し、そのシーンのそのキャラクターに成り切り、素直に感情移入出来れば

ナイトメアシンジ
出来ない?こんな真にせまった素晴らしいセリフなのに?あなたは、その感情を表現できない?なるほど。

では、役者をやめなさい。あなたには、残念ながらこの世界は向いていない。

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”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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