映画『クリーピー偽りの隣人』における香川照之の怪演ぶりは見る価値あり

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日、ご紹介するのは日本サスペンス映画「クリーピー偽りの隣人」です。
原作は前川裕の第15回日本ミステリー文学賞新人賞受賞作「クリーピー」。

上映時間は130分。
公開は2016年6月18日。
監督は黒沢清。

「クリーピー偽りの隣人」黒沢清監督


画像出典:eiga.com

は1995年7月19日兵庫県生まれ。
1983年ピンク映画「神田川淫乱戦争」で長編映画監督デビュー。
(ピンク映画の傑作のひとつと呼ばれている)
1997年サイコ・サスペンス映画「CURE」で一躍脚光を浴びる。
2001年映画「回路」で国際批評家連盟賞を受賞。
2008年映画「トウキョウソナタ」で第61回カンヌ映画祭「ある視点部門」審査員賞、第3回アジア・フィルム・アワード作品賞受賞。
2014年の前田敦子主演映画「Seventh Code」は評価が高く、第8回ローマ映画祭において、インターナショナル・コンペティション部門で日本初の最優秀監督賞と最優秀技術貢献賞を受賞している。
2018年には映画「散歩する侵略者」で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
(舞台が原作だけにユニーク。長澤まさみと松田龍平がいい!)

『クリーピー偽りの隣人』出演者を紹介

元刑事で、今は大学で犯罪心理学を教えている高倉に西島秀俊

高倉の妻役に竹内結子

(今回は色気のある感じがいい)

隣人の西野役は香川照之


(まさに天才肌の役者ですな)

西野の娘役澪に藤野涼子

(>宮部みゆきのミステリーを原作に前編・後編2部作として製作された成島出監督の映画「ソロモンの偽証」の約1万人のオーディションを勝ち抜いた逸材。主人公の”藤野涼子”役に抜擢され、それが芸名に。演技の経験はほとんどなかったらしいが、映画「ソロモンの偽証」の死体を見つける朝の登校シーンでの同級生との会話、クライマックスなどの演技は素晴らしい。ポテンシャルは相当高い)

映画の冒頭に出て、高倉に怪我を負わせる連続殺人犯のサイコパスを馬場徹

(2017年10月にTBS系日曜劇場で放送された役所広司主演のテレビドラマ「陸王」の埼玉中央銀行の融資課長のヒール役が筆者には印象的)

6年前の一家失踪事件のただ一人の生き残り、早紀を川口春奈

高倉の警察時代の後輩、野上役に東出昌大。

野上の上司である谷本を笹野高史が演じている。

(以外にハマリ役)

「クリーピー奇妙な隣人」のあらすじを途中までご紹介します。

映画「クリーピー奇妙な隣人」あらすじ

犯罪心理学者の高倉は、かっての同僚で後輩刑事の野上から、6年前に起きた未解決事件、“本多一家失踪事件“の分析を依頼される。

高倉は唯一の生き残りである長女の早紀の記憶を辿ろうとするが難航する。そんな時、高倉と妻の康子は引っ越しをしたばかりの新居の隣人である西野に”違和感”を覚える。

西野は病弱な妻と中学生の娘澪と暮らしているらしい。西野のとの何気ない会話に奇妙さを感じ、次第に不信感を募らせる高倉。

ある日、高倉は西野の娘、澪から「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」と告げられる。衝撃を受ける高倉。

追い打ちをかけるように、やがて未解決の一家失踪事件と隣人西野一家との共通点が見つかる…。映画「クリーピー奇妙な隣人」の見どころ。

(ネタバレあり)

竹内結子演じる康子が引っ越し挨拶に手作りチョコを手提げに入れて西野家を訪れるシーン。

康子の挨拶をさえぎって、執拗に手提げの中身を尋ねる香川照之演じる西野。「何ですか?って聞いたんです」

高圧的な言葉に気圧され、呼吸を一瞬止めたかのような康子の表情。微妙に噛み合わない会話が続きます。

この光景は見ている者を不安にさせます。
理解できないことがそうさせるのです。

演技における呼吸

よく、”阿吽の呼吸”と言いますが、演技において相手との呼吸は大事です。

演出家・脚本家・映画評論家・演技講師・リーディング講師・ナイトメアプロダクションCEO の6つの顔を持つナイトメアシンジ

しかし、演技において、”温泉卓球”のように同じリズムでお互いに会話するのは誤りです。人間は起きている間は常に頭を働かせています。 

同じリズムの繰り返しは他に意識を向かせます。要するに飽きてしまう。
香川照之と竹内結子の”奇妙なやりとり”に筆者は感心しました。
(噛み合う会話とズレた会話とでは、当然、ズレた会話の方が難しい)

香川照之が娘の澪を追って高倉家のドアを叩き、無理にドアを開けようとするシーンは度肝を抜かれます。
(もう、まるで異常者)

高倉の後輩刑事、野上役の東出昌大も存在感あり。
(黒沢清らしいキャラクター。どこかとらえどこのない役はナイスガイより向いているかも)

映画「クリーピー奇妙な隣人」の残念なところ

ほとんどの謎が解明されずに終わります。
(多少の謎は筆者は大好きだけど)

康子はなぜ、どうやって西野の取り込まれたのか?
失踪事件の種明かしも完全にはされず。
川口春奈の役も宙ぶらりん。

(川口春奈の演技力は三井住友海上 CM 川口春奈 菅谷哲也 「はじめての合流」「はじめてのハイウェイ」で証明済だけに残念。もっと見せ場欲しい!)

事務所のNG?

まだまだあります。
康子の腕の注射針のたくさんの痕跡。
抵抗はしなかったのか?
康子が篭絡される場面はありません。もちろん、犯されるシーンもありません。

ラスト、高倉に拳銃を握らせた西野の自信と根拠は?

ナイトメアシンジ

血が流れ出さない死体の意味。

それから、せっかく、芸達者な馬場徹にサイコパスを演じさせたのに”見せ場”が逮捕されるシーンだけなのは残念。(もうすこし、高倉や他の出演者とのやりとりがあれば、更に鮮烈な印象を残せたハズ)

この映画「クリーピー奇妙な隣人」は詰め込み過ぎたか

ナイトメアシンジ

うーん、前半のシーン。西野について高倉夫婦が交わす会話、「大抵凶悪犯って、ご近所に感じのいい人って映るらしいからそういう意味では安全かな」にはニヤリですが。

この映画「クリーピー奇妙な隣人」は子供のいない専業主婦、康子の隣人西野への好奇心が大きなポイント。

文字通り「好奇心が猫を殺す」

”好奇心が猫を殺す” イギリスのことわざ(en:Curiosity killed the cat)の訳。英語に「Cat has nine lives.」(猫に九生あり・猫は9つの命を持っている/猫は容易には死なない)ということわざがあり、そんな猫ですら、持ち前の好奇心が原因で命を落とす事がある、という意味。転じて、『過剰な好奇心は身を滅ぼす』と他人を戒めるために使われることもある。「好奇心は猫も殺す」などとも訳される。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

皆さんも気をつけて。
何はともあれ、香川照之の怪演は必見。
是非とも、御覧あれ。

クリーピー(ぞわぞわする、気味が悪い)すること間違いなし。

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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