人間が怖い日本映画と言えば、「紀子の食卓」かもしれない

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日、ご紹介するのは、
まさに”人間が怖い映画”「紀子の食卓」です。

映画「紀子の食卓」は2006年9月23日公開の日本映画。
上映時間は159分。

監督は・脚本は毎回、”人間の内面を鋭くえぐる”園子温


画像出典元:eiga.com

園子温監督については、
「映画監督園子温は日本屈指のカルト監督」の記事を御覧下さい。

映画「紀子の食卓」の原作は、園子温自身が書いた「自殺サークル 完全版」です。

映画「自殺サークル」(2002年)の続編のようなかたちを取ってはいますが、前作とはまったく別物としての鑑賞も問題ありません。(前作「自殺サークル」の謎が少しだけ解ける)

映画「自殺サークル」とは?

映画「自殺サークル」は、2002年の3月9日公開の日本映画で監督はもちろん園子温。
R-15指定で上映時間は99分。
ジャンルはパニック・ホラー。
(たぶん)

内容はざっとこんな感じです。

新宿のプラットホームで、楽しげに会話をしている女子高校生の集団。ホームに電車が入ってきた瞬間、54人の女子高校生たちが手を繋ぎ、飛び降りる。同じ頃、各地で集団自殺が次々と起こり始める。

警察は「自殺クラブ」という謎のフレーズと「廃墟ドットコム」という闇サイトを見つけるが…。
(映画「自殺サークル」は多くの謎を残して終わります。観客へほぼまる投げ)

では、映画「紀子の食卓」の出演者をご紹介しましょう

主演の島原紀子に吹石一恵。
(福山雅治の奥さんです)

そして、紀子の妹、ユカに吉高由里子。
(この映画「紀子の食卓」がデビュー作。この「紀子の食卓」で第28回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞している)

紀子の父徹三に光石研。
(テレビ東京系TVドラマ「バイプレイヤーズ」でお馴染みの名脇役)

クミコ役につぐみ。
(映画「月光の囁き」(1999年)で第9回日本映画プロフェッショナル大賞新人奨励賞。
2010年12月、MUTEKIからAVデビューには驚いた)

その他に手塚とおるも出演しています。

人間が怖い日本映画「紀子の食卓」のあらすじをご紹介。

人間が怖い日本映画「紀子の食卓」あらすじ

島原紀子は愛知県豊川市に住む、ごく普通の女子高生。同じ高校に通う妹のユカ、新聞記者の父徹三と母の妙子の4人で暮らしている。

田舎に嫌気がさしている紀子は東京の大学への進学を望むが、東京へ出た親戚の子が相次いで妊娠して帰郷したことから徹三は心配し、反対する。そんな折り、紀子は“廃墟ドットコム”という全国各地から女の子が集まるサイトを見つける。

紀子はそのサイトで「ミツコ」と名乗り、ハンドルネーム「上野駅54」らと知り合う。彼女たちとなら理解し合えるかもしれないと思った紀子は、停電の夜に家出して東京へ向かう。

紀子は東京で「上野54」こと、クミコと落ち合い、彼女がリーダーシップを取るレンタル家族の一員となる。そこで紀子は「ミツコ」として”誰かの娘”を演じながら、”家族ごっこ“を始めてゆく。

2002年5月26日、新宿駅8番線プラットホームから女子高生54人が、ホームへと一斉に飛び込んだ。

その謎を解く手がかりを“廃墟ドットコム”の中に発見したユカは紀子が54人の中にいるのでは?と考え、東京へと向かう。ユカの失踪から2ヵ月、母の妙子は精神を病んで自殺する。

仕事を辞めた徹三は、紀子とユカの消息を追い、“廃墟ドットコム”を遂に突き止める。紀子もユカもその組織<家族サークル>の一員だと知った徹三は、友人の池田に頼んでクミコを母親役、紀子とユカを娘役に指名し、クローゼットの中に隠れ待つ。

やがて、クミコと紀子、ユカがやって来る。池田はクミコに買い物を頼み、徹三に紀子とユカの前に出てくるように伝えるが…。

映画「紀子の食卓」について想う(ここからはネタバレあり)

冒頭から始まる紀子のモノローグは園子温らしからぬ、ホンワカした軽妙なムードで筆者はかなり好きです。

(徹三が灰皿に丸めて置いたミカンの皮が広がるシーンや地方の古い家ならではの時折、ブレーカーが落ちるシーンとか)

後半の殺伐さやバイオレンスは想像も出来ません。
(園子温らしい展開だけどね)

青春
デビュー作品にもかかわらず、吉高由里子の存在感は既に吹石一恵を上回っています。例えば、吉高由里子が学校のPCルームでパソコンをいじっていると、男子のクラスメイトの良が後ろから何気なくタッチをするシーンで、「やめて」と言うシーンなんてホントに自然に芝居をします。

また、自転車を押しながら、吹石一恵と歩いているシーンでは、顔の傾け具合や身体の使い方が絶妙。(自分がどう写っているのか、俯瞰的にわかるに違いない)

惜しむらくは、ラスト。吉高由里子扮するユカが朝早く家を出て行く場面。玄関先を横切る吉高由里子のすました表情が素晴らしい。そして、坂を下ってゆく吉高由里子の後ろ姿の画。筆者としては吉高由里子のシーンはここで終わって欲しかった。

(その後、カメラは吉高由里子の前に回り込み、表情を捉えるのだが、そのカット要るかな?偉そうにすいません) 

人間が怖い日本映画「紀子の食卓」

ナイトメアシンジ

”一度壊れたものは元には戻らない“という園子温の結論が重い。“安定より変革”という考え方も、園子温らしい。園子温は”家族は単なる集合体に過ぎない”と考えているのかも。
(家族って素晴らしいという一般的な庶民感情に対するアンチテーゼ?)

山田洋次監督とは対極にあるだろう映画作りです。
楽しい映画ではありません。
興味のある方はどうぞ。
(少し、長いし)

次回の映画「マーダーライドショーベイビー」です。

お楽しみに。

「先が読めない映画『シャッターアイランド』は細部まで目を凝らすこと」を最後まで読んで下さった読者の皆様へ

”人間が怖い映画”「紀子の食卓」を読んでくれた方にオススメしたい記事がありますのでコチラも併せて読んでみて下さい→→日本カルト映画の先駆的作品『恐怖奇形人間』とは?

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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