「秋葉原通り魔事件」までを描く前日譚”の映画『ぼっちゃん』

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ナイトメア・シンジ

大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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今日、ご紹介するのは、日本映画「ぼっちゃん」です。

(注:夏目漱石「坊ちゃん」の映画化ではありません)

映画「ぼっちゃん」は2013年3月16日公開。

監督・脚本は、大森立嗣。

上映時間は130分。

映画「ぼっちゃん」は2008年に起きた「秋葉原通り魔事件」の犯人である加藤智大をモチーフにした架空の物語です。

”加藤智大の「秋葉原通り魔事件」までを描く前日譚”の映画です。

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「秋葉原通り魔事件」とは?

2008年6月8日12時30分過ぎ、東京都千代田区外神田四丁目の神田明神通りと中央通りが交わる交差点で、元自動車工場派遣社員の加藤 智大(かとう ともひろ)が(犯行当時25歳)運転する2トントラック(いすゞ・エルフ)が西側の神田明神下交差点方面から東に向かい、中央通りとの交差点に設置されていた赤信号を無視して突入、青信号を横断中の歩行者5人をはねとばした。

このトラックは、交差点を過ぎて対向車線で信号待ちをしていたタクシーと接触して停車。周囲にいた人々は最初は交通事故だと思っていたが、トラックを運転していた加藤は車を降り、道路に倒れこむ被害者の救護にかけつけた通行人・警察官ら17人を、所持していたダガーナイフで立て続けに殺傷した

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から抜粋)

監督の大森立嗣


画像出典:eiga.com

1970年9月4日生まれ。

父は麿赤児、弟は大森南朋。

主な監督作品として、花村萬月の芥川賞受賞小説を映画化した「ゲルマニウムの夜」(2005年)、今をときめく松田翔太、高良健吾、安藤サクラ主演のロードムービー「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(2010年)、直木賞受賞の三浦しをんの小説を映画化の「まほろ駅前多田便利軒」(2011年)、男子高校生らの川辺での会話映画「セトウツミ」などがあります。

映画「ぼっちゃん」の出演者は、主演の梶知之に入江悠監督作映画「SRサイタマノラッパー」(2009年~)シリーズの水澤紳吾。”

梶の”ともだち”になる田中さとし役に宇野祥平。そして、強烈な印象を残す梶の職場での同僚、”岡田と名乗る男”に「東京プレイボーイクラブ』(2012年奥田庸介監督)の渕上泰史。

ひょんなことから梶と田中と知り合い、田中と恋に落ちる岡田ゆり役は映画「浅草堂酔夢潭」(2010年荻野欣士郎監督)で、モナコ国際映画祭主演女優賞を受賞した田村愛。

では、映画「ぼっちゃん」のあらすじをご紹介しましょう。

映画「ぼっちゃん」あらすじ

休日、秋葉原の歩行者天国をあてもなく、さ迷う梶知之28歳は、派遣会社を転々としている。
自称”ブサイクで生まれついての負け犬“。

梶は駅に戻り、電車に飛び込もうと思いながらも躊躇し、新しい職場に向かう。

契約社員として長野県の佐久市にある自動車工場にやってきた梶。
容姿にコンプレックスを抱え、性格もネクラ。
人とのつき合いも上手くできない。
ネットの掲示板にその複雑な思いを書き込む日々を送っている。

梶は職場に務める同じように女性にモテなくて、突然、眠りに落ちるナルコレプシーの持病を持つ田中さとしと出会い、”ともだち”になる。

会社の人間や梶と同期入社の岡田らの苛めや嫌がらせにあいながら、友情を深めていく梶と田中。

ある日、梶と田中はドライブに出かける。

同時期、岡田は病院で幼少時代の友人の妹のゆりと再会。

二人もドライブに出かける。

岡田は本当の名前は”黒岩”といい、ゆりの兄の名を騙っているシリアル・キラーだった。

黒岩から逃れたゆりは夜の山中で梶と田中に出会い、匿われることになる。

一瞬でゆりに惹かれる梶と田中。

二人は黒岩と同じ寮で、隣り合わせに住んでいることを事をゆりには知らせず、寮に連れてゆくが…。

映画「ぼっちゃん」の評価

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なにしろ、梶の容姿は加藤智大そっくりでビックリします。

男ってバカ
梶がおそらく密かに憧れを抱いていた女の子の卒業アルバムの個人写真を無理やり引き伸ばし過ぎて、目鼻立ちがボヤけた写真を大事そうに部屋の壁に貼るシーンがいい。

時折、流れるジャズビートも効果的。
(演出として良し)

130分の大作ですが、途中、ダレることなく最後まで見せます。

ナイトメアシンジ
この映画「ぼっちゃん」もまたナイトメア・リュウタ推しの一本ですが、彼は前記事の映画「殺人ワークショップ」と抱き合わせで筆者に薦めました。

故意か、はたまた偶数か?両方の映画に宇野祥平が出演しています。これがまた、素晴らしいいやはや、ぼーっと見ていると同じ役者が演じているのがわからないかも。それほど、異なる演技。ある意味、“なにをやっても、誰をやっても木村拓哉“とは対極の芝居。

(木村拓哉を否定するわけではない。あれもまた素晴らしい個性) 

最近はバイ・プレイヤーが随分もてはやされていますが、
(松重豊、遠藤憲一、大倉孝二など)
宇野祥平も、もう少しフューチャーされてもいい。 
ナイトメアシンジ
自信がない→自分を卑下→でも、もしかしたら→チャンスに見境なく飛びつく→女子に引かれる→後悔という“モテない男の負のスパイラル”が面白可笑しく描かれています。そして、ファーストシーンとリンクする衝撃のラストは必見。

秋葉原の事件に続き、先日、川崎でも痛ましい事件が起きたばかり。
被害を受けた方の悲しみと怒りを思うと言葉になりません。

監督の大森立嗣は”人を愛したいそれだけです”加藤智大のネット上の書き込みをヒントに作ったという映画「ぼっちゃん」は青春映画のかたちをとったサスペンスでもあります。

実際の加藤智大が何を考え、何に絶望していたかはわかりません。

この映画「ぼっちゃん」は“叶わない夢もある”とをあらためて私たちに教えてくれます。“でも、地面に這いつくばってでも、前に進め“とも聞こえます。人間讃歌の映画かもしれません。

悪くない作品です。
一度、御覧ください。

次回は人間が怖い日本映画「復讐するは我にあり」をご紹介します。

お楽しみに。

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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大学時代に現劇団の前身「スパースターノイローゼ」旗揚げ。 1989年劇団「営業二課」設立。 1997年松竹シナリオスクール卒業。 フェニックス掌編文学賞入賞。 2009年8月から2017年2月まで中央林間カルチャースタジオ演技講師に就任。 現在は映画脚本、舞台演出、脚本、ラジオドラマ制作、リーディング講師など精力的に活動中。 演技指導はマンツーマンを基本に行っている。 日本劇作家協会会員。 劇団営業二課主宰。 横須賀まなび館演技講師。

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